「江連の事も。渡里や佑騎の事も。凛の事も……。お前がいなかったら、今頃どうなってたか分かんねぇ」
今まで聞いた事のない弱々しい声に、胸がきゅぅーっと締め付けられる。
「お前がいなかったら……多分俺どうにかなってたと思う」
締め付けられる胸が苦しくて、あたしは自分の胸元に手を置いた。
「……ありがとな」
尚と出会って初めて優しい笑顔を見た。
その笑顔をもうちょっと見ていたかったけど、尚は顔を近づけてあたしの唇に口付けた。
「……ん」
深く密着した唇から時々漏れるリップ音。
その音に恥ずかしくなって顔が赤くなるのが分かる。
でもそんな余裕はすぐになくなり、尚のキスが激しくなるとあたしの頭は真っ白になった。
「……っちゅ」
……駄目……力が入らない。
尚は脱力して膝がガクンと落ちたあたしの後頭部と腰を支える。
力が入らないあたしを気にしながらも唇を離そうとしない。
……尚。
触れ合う唇から“好き”が溢れる。