尚 Side
「やっぱり尚さんは……すごい人なんだって……改めて気付かされました」
佑騎は俺に頭を提げたまま、そう声を震わせて言った。
「頭を上げろよ」
そう言って俺は佑騎の肩に手を置いた。
すると佑騎は頭を上げずに力強い声で、
「今までおれ……尚さんに失礼な事言っちゃいましたけど、許してもらえるなんて思ってませんけど。すいませんでした!」
って言って、さらに頭を低くした。
頭を上げようとしない佑騎を無理矢理起き上がらせて俺は口を開いた。
「もうやめろ。俺はお前に頭を提げられるほど偉くなんかねぇんだよ」
俺は無礼を謝られるほど偉くない。
俺はすごいって言われるほど強くない。
他の奴等と変わりない普通の人間なんだ。
「そんな事ないです!」
大声で否定する佑騎を見て、俺は目を細めた。
「なぁ?佑騎……」
「はい!」