すると桐生は力強い声で言った。



「あぁ……お前には悪いけど、俺は琴羽よりも美麗を大切に想ってる。普段気が強くてもホントは泣き虫だって事も。気にしてないフリしてホントは寂しがりって事も。知ってるんだ。だから普段人に見せない姿を俺に曝け出してくれる美麗を俺は全力で守る」



桐生……。



お前がそこまであの女に執着する理由が分かったよ。



あの女は、琴羽以上に人思いだ。



自分を犠牲にしてでも他の人を思いやる。



すごい奴だ。



そしてあいつの言ってる言葉は、どんな言葉より胸に響いてくる。



教科書みたいに的確な言葉をついてくる。



「ったく……どこまで馬鹿ップルなんだよ。てめぇ等は!」



そう言っておれはいつものように話した。



「馬鹿らしくて、おれの想いも馬鹿らしくなってくるぜ」



すると桐生はおれを見つめてフッと笑った。



「お前な。また琴羽ん時みたいに女傷つけるような事あったらおれが許さねぇかんな!!」



だから……櫻井を幸せにしてやれよ。



「あぁ」



おれの心の声を聞いたのか、桐生は頷いた。