「俺の心臓だって変わんないぜ?」
そう言ってあたしの手を掴むと、尚は自分の胸に当てた。
トクントクン……って少し脈の上がった音が感じられる。
それを確認して尚の顔を見つめると、尚は呟く。
「俺だって男だ。好きな女を独占したいって思うし、全てを自分のものにしたいって思う」
フッと笑いながらあたしのおでこにキスする。
あたしはあたしに馬乗りになっている尚の肩に腕を回す。
すると、尚は驚いたように少し眉を動かす。
「尚……大好きだよ?」
前は、あんなに同じ人間だって思えないくらい。
雲の上の存在の人みたいに遠かったけど。
人には持つ事のできない魅力を持ってて。
すごーく遠い人に感じたけど。
今は、尚にもあたし達と変わらない心があるって事も分かった。
すごく近くに感じるよ。
思ってたより、弱いって事も知った。
何でだろう。
その危うさが愛しい。