「帰るか」
そう呟いた尚に手を引かれて、あたしと尚はあたしの住むマンションに向かった。
夕暮れも近づいて、空はオレンジ色に変わっている。
日が暮れているからかな。
暗くなってきて、心細くなってるのかな。
尚と離れたくない、そう思ってしまった。
マンションの前について、尚はあたしの頭を撫でる。
「じゃぁ……、な?」
そう言って尚はあたしに背を向ける。
あ!
思わずあたしは尚の袖を掴んでしまった。
「美麗?」
名前を呼ばれて、ハッとしたあたしは慌てて手を放す。
あたしったら、何してるんだろう。
オドオドしていると、尚はあたしを抱き寄せた。
「離れたくないとか言うなよ?俺だって……ホントは、すぐに俺のものにしたいの我慢してんだから」
心地よい低い声がそう言う。