「尚♪」
いつものように俺に笑顔を見せてくる琴羽。
その笑顔を見て俺はぶっきらぼうに対応する。
「何だよ?」
「呼んでみただけー」
って……何だよ、こいつ。
そうそう思っていると、教室にあいつが現れた。
「琴羽♪」
「あ、那智」
最近やたらと琴羽の前に現れる江連。
喧嘩が強いとか、いろいろ噂は聞く。
そいつをボーっと見ていると、さっきまで琴羽に笑顔を見せていたのに、俺を見てギロッと睨む。
あいつは……俺が琴羽の近くにいるから嫌いなんだ。
あいつは……俺がこの中学を仕切っている事が不服なんだ。
そう思いながらも、琴羽には好きになった奴と幸せになってほしかったから俺は2人が一緒にいる事には何も口出ししなかった。