保健室の前。
尚と別れてから、あたしは渡里君と成月が行った保健室に向かった。
ガラ。
扉をゆっくり開けて中を覗くと1つのベットがカーテンで隠れている。
……先生いないんだ。
辺りをキョロキョロと見渡すけど、先生の姿はなくて、あたしはゆっくりと保健室の中に入って行った。
静かにカーテンを覘いてみると、成月がスースーと心地良さそうな寝息を立てている。
渡里君……どこにいるんだろう。
そう思ったあたしは、カーテンを閉めなおした瞬間。
「美麗ちゃん?」
渡里君が保健室の扉の前に立っている。
「あ、渡里君」
するとあたしを見てフッと笑うと、渡里君はゆっくりと保健室に入る。
「どうしたの?保健室に何か用事でもあった?」
「あ……」
尚の事聞きたかったんだけど、いざとなると言いにくいな。
俯いていると、渡里君はあたしに椅子を差し出して微笑んだ。