「江連って誰?あいつって誰?」
そう聞くと、尚の表情が曇った。
そしてまたフッと笑うと、あたしの肩に手を置いた。
「美麗は何も聞かなくていい」
何で……。
「でも!あたしだって尚の……」
そう口にした瞬間、尚はあたしの首筋に唇を落とした。
「お前は普通にしてればいい。俺の傍にいてくれよ」
そう言ってまた軽くあたしを抱きしめて屋上を出て行ってしまった。
……役に立ちたいって言わせてくれなかった。
触れられた首筋を触れる。
すると思い出したのか、今頃になって心臓が暴れる。
尚……。
何で教えてくれないの?
あたしだって尚を助けたいよ。
だって……尚はあたしを助けてくれてるんだから。
「恩返しさせてよ」