珍しく渡里君は、あたしを茶化すように言う。
チラッと尚を見ると、目が合ってあたしは慌てて視線を逸らした。
すると成月は、欠伸をしながら立ち上がると口を開いた。
「体痛ぇし……保健室にでも行くかな」
「オレも行くよ」
そう言って2人は、屋上を出て行った。
2人きりになってしまった。
うーん。
あたし、こういう沈黙って嫌いだからな。
尚って自分から話すタイプじゃないし。
「ねぇ?」
「ん?」
眉を片方上げてあたしの顔を見下ろす。
……。
あまりにも顔が整いすぎて、その表情を直視できない。
すると尚はフッと笑いながら、あたしの腕を引き寄せてあたしを抱きしめた。
「何が言いたいんだよ?」