「何であたしもここに連れてきたの?」



そう。ここへあたしも尚に引っ張られて連れてこられた。



何で?



「お前は俺の女だろ?」



尚は力強い声でそう言う。



“俺の女”。その言葉を聞いて、あたしは思わず頬を赤らめた。



するとそんなあたしを横目で見ながら尚は、また成月を見下ろす。



「とりあえず江連を動かしてるのは、恐らくあいつだ。江連は俺が気に食わなくているんだろ?」



そう言って髪をクシャッとする。



江連って人は、どうして尚を嫌うんだろう。



尚が鈴蘭のトップだから?


そもそも、“あいつ”って誰なの?



「おれには、分からねぇ」


考えこんでいると、成月はそう言って頬に貼ってある湿布をいじった。



「あいての狙いは尚でしょ。だったら、へたに動くより、あいつ等が来るのを待つべきだとオレは思うよ」


冷静にアイディアを出す渡里君は、そう言った後、あたしを見下ろして微笑んだ。



「尚が言った通り、“尚の女”なら、絶対に1人になったりしちゃ駄目だよ」