何も尚は言わない。



いつもなら抵抗するはずの成月も黙ったまま歩いて、渡里君もその後についてくる。



みんな……どうしたんだろう。



そう思ったけど、あたしは何も言わずに尚の後について行った。



ついていくと、屋上について、尚は手すりの前にあるベンチに座った。



「成月……お前桜蘭にやられたのか?」



桜蘭って前……佑騎とあたしが襲ってきた学校だよね?



確か、江連って人がどうのこうのって言ってた。



考えていると、成月は少しためらいながら答えた。



「あぁ……悪い」



その言葉を聞いて尚は、フーッと息をついた。



それをあたしは見つめていると、尚は口を開く。



「そうか」



「江連が動き出したぞ」



成月はそう呟くと、渡里君と尚はその言葉を聞いて拳を握った。



「あ……あのさ」



「あ?」



場違いなのは分かっていたけど、あたしは口を開いた。