ザワ……。
クラスの空気が変わった。
あたしはみんなの視線が集中する扉に視線を向けて、目を見開いた。
「成月……!?」
扉の前に立っていたのは成月。
でもあたしはその姿を見て驚きを隠せなかった。
腕には包帯が巻かれて、額にはガーゼがついている。
頬には痛々しい絆創膏が何個も張られている。
一体……どうしたの?
「成月……お前どうしたんだよ」
心配そうに渡里君は成月に歩み寄って聞く。
すると成月は黙ったまま俯く。
……成月?
あたしは席を立ち上がろうとした瞬間、いきなり尚があたしの腕を掴んでスタスタと歩き出した。
そして成月と渡里君の元に歩み寄ると、成月の腕も掴んで尚は何も言わずに歩き出した。
「ちょっ……尚!?」
あたしは掴まれた腕に手を添えながら尚の名前を呼んだ。