動きが遅い。
オレはその拳を軽々避けてそいつを背負い投げした。
「てめえ!!」
倒れた3年を見て、他の奴等もオレに目掛けて拳を飛ばす。
「俺の歩く道……邪魔すんなよ」
ボソッと呟いたような声だったけど、その低い圧力のある声にその場にいた奴は動きを止めてその声の主に目を向けた。
そこに立っていたのは、赤茶色の髪。整った顔立ちに他にないオーラを放つ男だった。
「桐生か」
3年の頭はそう呟く。
……桐生?
すると桐生はオレ達の方にゆっくりと歩み寄って、オレの隣に立つと口を開いた。
「同い年同士仲良くしようぜ」
その言葉だけで、オレとは……他の人とは違う何かを感じた。
「……そうだね。オレは宮藤渡里」
「おらああああ!!!!!」
立ち向かってくる3年の集団を鋭い眼光で見つめながらそいつは言った。
「桐生尚だ」