すると凛は真っ直ぐにあたしを見下ろしている。
あたしはその表情を見て、俯く。
「好きだけど……好きになっちゃいけない」
また涙が込み上げてくる感じがした。
分かっているけど、自分の口で言った事によって現実を突きつけられた気がして酷く胸が苦しくなった。
すると凛の手があたしの頭に伸びてきた。
「好きな奴をわざわざ嫌いになる理由なんてねぇんだぞ」
その言葉はすごくあたしに響いてきた。
でも……。
あたしは友達と尚を量りにかける事なんてできない。
だって、どっちも大切だから。
すると何も言わないあたしの顔を切なそうに見つめながら凛は頭をポンポンと叩いた。
「俺に言えるのは……自分の出した答えに後悔はするなって事だけだ」
その表情はまるで……今でも凛が何かに後悔をしているように見えた。
それに顔と名前しかお互い知らないのに、あたしの事を知ってるようにも感じた。
凛は……一体何者なんだろう。
まるで、全てを見透かされている感じ。