だから……。
「また……泣いてるのか」
上から降ってくる声に驚きつつ見上げると、そこには銀色の髪の凛が立っていた。
「り、ん……」
そう名前を呼ぶと、凛は満足そうに口の右端を少し上げて微笑んだ。
「へぇ……俺の名前覚えてたんだな」
そう独り言のように呟きながらあたしの前にしゃがむと、あたしの顔を覗き込んできた。
そしてあたしの頭を乱暴に撫でながら言った。
「何かあったら連絡しろって……言っただろ?」
その言葉を聞いて、あたしはポケットの紙切れの存在を思い出した。
あ……。そういえば、貰ったんだった。
ポケットに静かに手を忍び込ませて、その紙切れを手に取った。
その紙切れをポケットから出そうとした時。
「お前は……好きな奴が居るか?」
凛が口にした。
あたしは、凛を見上げる。