「おれは美麗が好きだから、別の男にそういう事されるのが嫌だつってんだよ!」
渡里君を突き飛ばすと佑騎は声を荒げた。
佑騎……。
殴れられて唇を切った渡里君は、血の滲んだ唇と指で拭うと、ゆっくりと立ち上がる。
「美麗ちゃんは佑騎のものじゃないだろ?勝手に自分のものみたいに言われちゃ……困るよ」
ドス。
次は渡里君が佑騎を殴った。
「……2人ともやめて」
どうして……あたしが学校に転校して来た時は、あんなに仲良かったのに。
あまりのショックで声が出なかった。
あんなに仲良かったのに。
あんなにお互いを思ってたのに。
全部あたしのせいだ……。
全部……。
「お願いだから喧嘩しないで!!」
溢れる涙で視界がぼやける。
大声で叫んだ直後、あたしの肩を後ろから誰かが触れた。