その声は、今にも壊れそうな位弱々しかった。
あたし……。あたし……。
渡里君を……。
「渡里く、ん」
「何してんだ」
その声を聞いて、あたしは視線を声の主に向ける。
「……佑騎」
その表情は怒りがにじみ出ていて、あたしが佑騎の名前を呼んだ瞬間。
佑騎はあたしを追い詰めたままの渡里君の胸座を乱暴に掴んだ。
「渡里さん何してんだよ!?」
「……」
胸座を掴んであたしから渡里君を離した佑騎は、渡里君を睨んでいる。
すると渡里君は、無表情で佑騎を見ると口を開いた。
「何でオレはお前に指図されなきゃなんないの?」
その瞬間佑騎は渡里君を殴った。
ドス。
鈍い音がした瞬間、渡里君突き飛ばされた。
「渡里君!」