渡里君に家まで送ってもらったあたしは、ベットに倒れこんだ。
あの時……。
渡里君の腕を振りほどけなかった。
目が逸らせなかった。
あの時の渡里君の想いが、あたしの尚への想いと重なってしまって。
同情なんてしちゃいけないのは分かってる。
でも……渡里君の気持ちがぶつかってきて、断れなかった。
あんなにあたしを想ってくれるなんて。
こんなあたしを大事にしてくれるなんて。
渡里君を好きになった方がどれだけ楽だったのかな。
渡里君を好きになった方がどれだけ幸せだったんだろう。
何で……大切な人がいる人を好きになってしまったんだろう。
何で……届かない想いを捨てられないんだろう。
渡里君ならあたしを幸せにしてくれる。
渡里君を選んだ方が自分の為になる。
尚への想いを捨てて、あたしは渡里君を選んだ方がいいの?
きっとそっちの方がいいに決まってる。
「もぉ……分かんないよ」