その時オレは察してしまった。



美麗ちゃんは……尚と梨佳の姿を見て走って行ったんだ。



美麗ちゃんは……尚が好きなの?



オレの頭の中が疑問でいっぱいになりそうだった。



すると尚を連れた梨佳がオレ達の方に歩み寄ってきた。



「渡里、成月。久しぶりね」



笑顔を見せてそう言ってきた梨佳に、オレは笑顔を作った。



「久しぶり。……ごめん。オレ、ちょっと行かなきゃ」



そう言ってオレはみんなの返事も聞かずに走った。



美麗ちゃんは尚が好きなのかもしれない。



そしたら、尚は?



尚はどうするの?



とにかく今は美麗ちゃんを探さなきゃ。



オレは無我夢中で走った。




ただ愛しい人の涙を拭ってあげたくて――……。