*校門前*



「それにしてもさ、伊能先生。なんで沙依だったんだろうな」
「渡部先生と飲みに行きたくなかったんでしょ?」
「飲みに行きたくないだけなら、沙依じゃなくて鈴奈でもいいだろ」
「確かに……」





従妹の位置にいる鈴奈を送っていく。その方が誰もが納得しやすいはずだった。



けれど、拓哉は沙依を送っていくことにした。





沙依は僅かな希望を持っていた。





そんなことあり得るはずがない

そう思っても希望を持ってしまう