『啓くんが幸せになれるなら。』


つぐみの言葉が
頭をよぎる。



幸せにはなれない。
だけど
強く貫きたいと。
ひたむきに想っていたいと。
そんな風に思ってる。
呆れるくらい恋愛をしてきた。
出会いと別れを繰り返した。
だけどその度に
絶望してきた。

俺の望んだ人じゃない。


どこか空虚な恋愛を
俺は見下していたのかもしれない。


だけどあの子は真っ直ぐ。
どんどん惹かれていくのに気付いた。

同時にどんどん二人が
惹かれ合っていくのも分かった。


あれ程までに
恋愛が上手く進まない事に
正直驚いた。
自信あったし。本当。



「……ほんとごめ……。」

『…どうしてなの。どうしてもだめなの…?』



愁の隣にいる
葵と目があう。



「ほんと好きなんだ。何も考えらんないくらい。」



目を反らさず
携帯に呟いた。




「じゃあ。」