勢いよく飛び付いてきた
体を思いきり抱き締める。

そうだ。これでいい。
とりあえず今は
今を葵を抱き締めるんだ。


葵といるとそんな風に感じる。



「よしっ帰りますか~。」

葵の髪の毛をグシャグシャしながら言う。


隣では
もーやめてよ~と
髪の毛を直す葵がいて。


ああ…俺は
こいつがいるから
ここに居られるんだな。




二人で校門をでると
葵が優しく手を握ってきた。
こんなことは珍しくて
思わず葵の顔を見てしまう。


「ん~暑っいわ~。」



ってなんちゅー顔してんねん!!
めちゃくちゃ
だるそ~だし。
まあいつもだけどな。


いつも通りのペースの中でも
変わったこと。


きっとこいつは
あの日から
俺に「一人」を感じさせないようにしてる。

それもそれを
俺に気付かれないように。


「うし!アイスアイス!」

「やったあ!」


繋いだ手を
ブンブンふって喜ぶ葵。

痛いっつーの。



「よっしゃ!コンビニまで競争!!負けたらおごり!!」


「えっえ!!!?ちょ…」


「どんっ!!」



繋いだ手は
離さない。
ずっと離さないから。

そばにいてよ葵。