「行ったんだってね。彩のところ。」 「うん。」 どうだった? と言いたそうに 俺の顔を見上げる。 彼女の目から逃れるように 窓の外へ目をやった。 「泣いてたよ。」 泣いていた。 何も言わなかった。 泣き顔が 俺を責めているようにも 思えた。 久しぶりに見た彼女は あの頃と随分変わっていた。 「。感情が戻ってきてるの。記憶も少しずつ…。」 戻ってきてるよと言いかけて 彼女は押し黙った。 「いいよ。なに?」