ちょうど家に着いたとき
聞きなれた
着信音が鳴り出した。


『今終わった~。ちょっと寄るとこあるから、俺のカッコいいプレーをリプレイしてて!』



返信をして
パチンと携帯を閉じる。
部屋に入ると
ベットに倒れ込んだ。


なんだか急に
会いたいよ。
声聞きたいよ。


目を閉じれば
彼の姿が鮮明に浮かぶ。



今日まで色んな高橋を見てきた。
だけど一番
かっこよかったよ。



窓から心地よい風が吹く。

風が頬に触れた瞬間
机の上の写真立てが
音を立てて倒れた。







あたしは何も知らなかった。
彼の苦しみを
知らずに過ごしていた。

逆にあたしが彼の
苦しみを増やしていた。



そんなことなら
あたし
あなたに
出会わなければ良かった。


恋をしなければ良かった。