3組の教室に近づくと
中から木村さんの声がした。

「返事とかいいよ!高橋に好きな人いるのは知ってるし!」


えっ……
高橋…?


どうしよう…。
木村さんが…

「ごめん。困らせるだけだよね!じゃあ!」


やばい!!
出てきちゃう。
あたしはとっさに
水道の影に隠れた。


木村さんの後ろ姿を
影からみる。


とりあえず撤収しよう。と思い
立ち上がったとき。


ガタッ…。



あ…やば…。

近くにあった
体育祭の用具が倒れそうになった。


「……誰!?」


げっ!!

ガラッとドアが開いて
高橋と目が合った。


沈黙が流れる。



「……なにしてるのかな…?」


「あはははは…。」

明らかに顔がひきつる。


「…で?聞いてた?」


「………はい。まあ少々…。すんません…。」


「なんでこんな所にいんの?」


なぜ…あたしは
いるんだっけ?


「えーと。那奈から…高橋が青い顔して校舎に入っていったって聞いて…。」

「心配して来たと?」


「死んでたら困ると思って。」


おいおい。あたし
可愛くないな!


高橋が近づいてくる。