「高校の時は、まだマシだったかな。
あの時はみんなでワイワイやってたし。

・・・でも、あいつがすっげぇ大事にしてた彼女と、ある奴がねたんだよ。

いつも、一緒に騒いでる奴。
・・・それからかな??

人の痛みに鈍感な奴になった。

ってか、むしろ、人が苦しんでるのを楽しむような奴になった」




ゲームセンターでの、ギンの顔を思い出した。


何度も何度も、茶髪の男に拳を振り上げるギン。
本当に、人を殺しかねないほどの瞳。

身震いをする。

あの時ほど、ギンが怖いと感じたことはなかった。
・・・ああやっていつも、誰かを殴っていたのかな??


自分が傷つけられて。
イライラして。


いつの間にか、誰かを傷つけることでしか、快楽を得ることが出来なくなったのかな??



「・・・ねぇ、知ってる??」




あたしは、顔を上げた。
そこにあったのは、優しいマスターの瞳。


「あいつの腕の傷」

「あ・・・知ってます・・・なんでついたのかは、教えてくれなかったけど」


肉の盛り上がった、古傷。

生々しくて、思わず目を逸らした、傷。




「あれ、俺がやったんだ」


「・・・え??」





驚いて。

あたしは、喉に言葉を詰まらせた。




「ナイフで。俺が思いっきり掻き切った」


「ど・・・どうして・・・」