百合ちゃんはあすちゃんと同じ水泳部だ。

しかも同じクラス!

百合ちゃんとあすちゃんは仲が良くて、そのつながりで美月もちょくちょく話していた。

だから百合ちゃんが矢口先輩を好きなのは知っていた。

本気で好きかはわからないけど、かなり強い憧れは確実に持っている。

「ねぇ…百合ちゃんって、本当に矢口先輩が好きなのかな。ただの憧れとかじゃないのかな」

美月があすちゃんに尋ねると、困ったような顔をして、あすちゃんが泣きそうになっていた。

「あ…ごめん…」

慌てて、あすちゃんの背中を撫でる。

心配そうにあすちゃんを見ていた幸恵ちゃんが、何かを決意したように話し出した。

「百合ちゃんとかのことはおいといて、あすちゃん自身は矢口先輩のことどう思ってるの?」

真剣な眼差しで、あすちゃんを見つめる。

「だって…」

あすちゃんの大きな目から、涙が一粒落ちた。