屋上に続く階段の横に、小さな踊り場がある。

小窓もついていて、階段からは一見誰もいないように見えるそのスペースは、かっこうの溜まり場だった。

一足先に美月がついた。

ここにくるときは、みんなバラバラにくるのがルールだ。

誰にも見られないように、こっそりくる。

そんなちょっとしたスリルも堪らなく、ドキドキする。

蒸し暑いので、小窓を少しだけあける。

いい風が入る。

少し待つと幸恵ちゃんがきた。

「いい風〜」

のんびりと幸恵ちゃんが言う。

「ねぇ、幸恵ちゃんは好きな人いないの?」

小さな声で幸恵ちゃんに聞く。

「そうだね〜今は特にいないかなぁ」

「じゃあできたら教えてね」

「わかったぁ」

トントントン

そっと階段を登ってくる音がする。

じっと黙っていると、ぴょこんとあすちゃんが顔をだした。