「美月行こう」

亜依が放課後、教室まで迎えに来る。

一緒に教室をでたら、土田くんと目があった。

「ばいばい」

「またな」

この一言がたまらなく嬉しい。

ニヤニヤ見ている亜依に、「も〜、何よ〜」と照れ隠しに怒ってしまう。



今日は土曜日。

授業は午前で終わり、部活は午後の前半と後半とある。

この日の練習は後半だったから、お昼後の時間に、二年生の先輩から色々教わる予定になっていた。

蒸し暑い体育館の廊下で輪になる。

「今日は応援の仕方の練習です」

先輩二人が見本を見せてくれる。

「まずはオフェンスのとき。声だし係が先に声をだして、周りがそれに続いていくの。」

先輩が教えてくれた応援をみんなでメモする。

声だし係は二人一組で、試合ごとに変わるらしい。

順番に声だしをやらされて、一通り終わったあと休憩になった。

「そうだ!一年生でも何人かスコアの書き方覚えてほしいんだけど、誰かやらない?」

美月はミニバス時代、オフィシャルはスコアラーだったので亜依に目配せして「やりたいです」と手をあげた。