夜はお決まりのキャンプファイヤー。

すり鉢状の階段にクラスごとに座る。

隣に座った幸恵ちゃんと髪型をお団子でお揃いにする。

「ミッキーみたい♪」

カメラマンさんが記念に写真を撮ってくれた。


キャンプ場の人がどんどん薪を組み上げて、キャンプファイヤーが出来上がった。

はぜる火の粉。

不思議な動きをみせる炎。

山奥だから、空気も綺麗で、空には満点の星空が瞬いている。

こぼれ落ちそうな星たちに胸が一杯になる。

小さかった火もあっと言う間に大きくなり、誰もが火に吸い込まれるように、静かになる。

一瞬の沈黙のあと、おもむろに陽気な音楽が流れてくる。

沈黙が嘘のように騒がしくなる。

歌を唄ったり、フォークダンスを踊ったり…

即興で漫才を始める子がいたり…

クイズ大会では幸恵ちゃんが惜しいところまで大活躍して!

美月たちは楽しくって、おかしくって、ずっと笑いころげていて…

楽しい時間はあっという間に終わりを告げる。

皆でゴミを拾い、後片付けをしたらクラスごとにお風呂の時間。

暗闇のなか、きゃっきゃっ言いながらロッジに戻る。

1つの宿泊場に1クラス入る。

木の温もりをかんじるロッジで、二階建てのなかなか立派な建物。

二段ベッドが4つ入った狭い部屋だけど、その狭さがなんだか心地よい。

こんな夜に話すことって…

コイバナしかないよね。

「ねぇねぇ、美月ちゃんって好きな人いる?」

急に話題を振られて、思い浮かべたのは土田くんだった。