ミニバス出身者の中で選ばれなかったのは、美月ともう一人。

亜依ちゃんだった。

美月は桜小で、亜依ちゃんは緑小でそれぞれキャプテンだった。

それだけにショックだった…


この日はミニゲームの後、解散になった。



ちょっと誰とも話したくない気分。

みんなに挨拶をして、小走りで自転車置き場に行く。
泣きそうになるのをこらえならが、自転車を漕いでいると、見慣れた背中が見えてきた。


「土田くん?」

土田くんは徒歩通学だ。

パークタウンという、比較的新しいマンションに住んでいる。

美月の家は学区の外れの方だったので、自転車通学が許されていた。

自転車をとめて話しかける。

「土田くん、今日早いね。」

「今日は珍しく早く終わったんだ。清野も早いね」

「私も早く終わったから、さっさと帰ってきちゃった。途中まで一緒に帰ろっか。」

自転車から降りて、二人で歩き出す。

暮れなずむ空、広がる田んぼ。

のどかな田舎の風景が広がる。

「そういえば、今日選別があったんだろ?どうだった?」

あ…

土田くんに会ったら忘れてたけど、そうだったんだ…

「うん…駄目だった。選ばれなかったの。」

「そっか…」

気まずい沈黙が流れる。

土田くんが言葉を選びながらゆっくりと話し出す。

「でもさ、三年生が引退すれば全員、体育館に行けるわけだし。それまでのことだよ」

「そうだね…」

「それに、清野が頑張っていれば先生だって見てくれるよ。今できることを、精一杯やっていれば、おのずと結果はついてくると思うよ!」

「土田くん…」

「一緒にがんばろうぜ!なっ?」

美月は胸がいっぱいで泣きそうだった。

潤んだ目で土田くんを見上げる。

「ありがとう!明日から頑張ろうって気になった。お互い、精一杯頑張ろうね」

そう言って見上げた土田くんは優しく微笑んでいた。