よく観るメロドラマの。

悲劇のヒロインじゃあるまいし。

泣きじゃくったりなんか、しない。


「好きな奴が、出来たんだ。」


男って、なんて勝手な生き物なのだろう。

でも男のほうからすれば。

女の私のほうこそ。

身勝手で馬鹿な生き物なのかもしれない。


信号が変わり。
人混みの中。
街が動き出す。


今さらながら。

込み上げてくる気持ちを呑み込んで。


鉛色の空よ。

あなたは我慢しなくても、いいのよ。

もうすぐ、ポツリポツリと。

空が代わりに、泣いてくれる。

<終>