初めて出逢った、あの日から。

ずっとずっと感謝をしていたんだよ。


舌を出して。

しっぽを振って。

帰宅のときには、嬉しすぎて・・・。

一緒の散歩も。

じゃれあう遊びも。

ただただ側にいただけの、こんな僕でも。

少しは君の、役には立てたかなぁ・・・?


「獣医さん、苦しそうなんです・・・。どうにかなりませんか?」

「出来るだけの処置はしましたが、老齢なこともあって・・・。犬の寿命のことを考えれば、いつ逝っても・・・。」

「そんな・・・。」


身体がとても重いんだ。

涙をなめてあげられない。


夕暮れ。

小雨。

濡れたダンボール箱。

震える小さな身体、抱き上げて。


家族になったあの日から。

ずっとずっと感謝をしていたんだよ。


さぁ、時間だ。

ゆっくり瞳が、閉じていく・・・。

<終>