あっけない気がした。

「じゃあ、お願いします。」

そんな言葉に見送られて。

乗り込んだ車内は、どこもかしこも似たような顔ぶればかりだった。


「退職にも、お金のかかる時代になりましたなぁ・・・。」

ふいに、近くにいた年季の入った方が、話しかけてきた。

「私は十年くらい頑張ったんですが、おたくはどれくらいで?」

年季が入っていると思ったら、十年も・・・。

「僕は・・・五年くらいでしょうか?」

「時代は移り変わりますからなぁ・・・。まぁ第二の人生“リサイクル”の始まりですな!」

「確かにそうですね。これでもう右上に表示される“アナログ”の文字を気にする必要もありませんし・・・。」


収集車が停止する。

新たなお仲間がまた、やって来るようだ。

<終>