心の中で吉田にごめんねを告げて、真夏さんの家へ向かって歩く。

途中、透さんが私に言った。


「さっきの彼はお友達ですか?」

「あ、はい。同級生です。」

「私はてっきり彼氏なのかと思ってました。」

「えぇっ?違いますよっ///」


「それでも彼は唄さんをとても大切に思っているようです。いつも唄さんの事を見ていましたから。」

「え‥‥?」

「いつも図書館の入り口で行ったり来たり、入るのを躊躇っていました。」


私の目を見て微笑んで、そして言葉を続けた。


「…そんな彼も、少し真夏のようだと思いました。」

「何故ですか?」

「真夏も僕に会いに図書館へ来てくれました。彼と違い強引だったので、入り口で躊躇ったりはしてませんでしたが。」


その頃の事を思い出したのか、可笑しそうに笑い弾む透さんの声。蝉が唄う夏のバラードと重なって…

さっきの吉田の顔が脳裏に浮かんだ。


「何故、真夏さんを好きに?」

「蝉の声が、心地よく聞こえたんです。彼女がいると。いつの間にか…好きになってました。」

「素敵ですね。」


あぁ、やっぱり。

似ているところが多いですね。って心の中で呟いた。