透さんのことを素敵だと言った日のことを思い出した。

あの時の切ない笑顔を。


「…何故ですかね。そんなの…悲しすぎます!!」


きっと、こんなに長い間透さんは…自分を責めていたんだ。


「やっぱり、会いに行きましょう?」

「えっ?」

「だってそんなの…悲しすぎです!」


…貴方には笑っててほしいから、


「今でも幸せかもしれない、だけど…家族で過ごす方が幸せに決まってます!…諦めたらそこで終わっちゃう!」


透さんには絶対幸せになってもらいたい!


「唄さん…」

「行きましょう?」


私の目を真っ直ぐに見つめる透さんが、私じゃない誰かを見ている気がした。


「‥‥僕より、真夏に似ているかもしれません。」


そして、ふっと笑った透さんがそう言った。


「まなさん??」

「僕が生まれて初めて愛した…最初で最後の人です。」


そう言って笑った透さんは綺麗だと思った。