「確か…その人には、お子さんがいると言ってましたよね。結婚してたんですね。」

「いいえ、結婚はしてません。」


私の言葉に、とても辛そうに笑う透さんが目の前にいる。


「あの時、僕らは17歳でした。…反対されますよね。」


告白なんてしなければよかった…と、思った。


「それでも僕は彼女と過ごせて幸せでした。…今でも幸せですよ。」

「…お子さんは??」

「彼女の実家にいます。会った事はないですけど…」


悲しそうに伏せられた目に、心が痛む。


「会わせてもらえないんですか?」

「…会いに行く勇気がないんです。」

「会いたくならないんですか?」

「とても。」

「だったら、会いに行ってください!!」

「……。」


透さんはまた辛そうな笑顔で首を振った。


「何故ですか?!」

「彼女は僕を待っていない。」

「でも…」

「会いに行っても、僕には何も出来ない。」


透さんはとても辛そうで、それでも一言一言ゆっくりと言葉を紡いでいく。