「沢山本を読まれる人だなぁっていつも感心してたんですよ。」
その口振りからして、私をよく見かけていたんだろう。ここには、ほぼ毎日と言っていいほど通いつめている。
「本を読むのが唯一の楽しみですから。」
そう、勢いよく答えてしまったが
“他に行く所のない寂しい奴だ”
なんて思われてはないだろうかと、恥ずかしくなった…
「学生の頃は僕もそうでした。」
私の言葉に、そう言って優しく笑ってくれた彼は、何だか分からないけれど、とてもいい人そうで…
少し会話をした。
「17歳なんですか?!じゃあ、僕よりだいぶ若いですね。」
「おいくつですか?」
「いくつに見えますか?」
訪ねた私に、今度は少し悪戯っぽく笑った。
「えっと…」
20は越えてるかなぁ…だけど、そんなに老けてないし…
「26です。」
悩む私に男性はくすりと笑って答えを教えてくれた。
「嘘っ?!みえないですよ!もっと若いのかと思いました!」
「それは嬉しいなぁ。」
何だか不思議だった。
私は昨日まで彼を知らなかったのに、彼は私を知っていて
九つも歳が離れてるのに、そんな感じがしなかった。