…ﾐｰﾝﾐﾝﾐﾝ
ｼﾞｰｼﾞｰｼﾞｰ
「…透さん。」
「はい??」
「か、彼女とか…いないんですか??」
私の質問に透さんはゆっくり口を開いた。
「いません。」
そう言って微笑む透さんに少し安心した。
「そうですか。」
「昔、すごく好きな人がいて…」
だけど、一時の安心は脆くも一瞬で崩れ落ちた。
「きっとまだ好きなんです。」
苦しそうに笑う透さんが切なくて…言ってしまった。
「…私、好きです。透さんの事!!出会って時間はたってないですけど‥‥好きです。」
最後の好きですは、声が小さすぎて言葉になってなかったかもしれない。
「ありがとうございます。」
それでも透さんは急な告白に驚いた後、優しく笑ってくれた。
「一度話した事がありましたね。昔、唄さんと同じ事を言ってた人がいたと。あれは、僕なんですよ。」
そう言った透さんは、恥ずかしそうで情けなさそうに笑った。
私はその言葉からある事実を思い出した…。
