綺麗に咲いた向日葵の陰で動く二つの人型。


「唄はどこにいるのかなぁ〜(笑)」


図書館の中が見渡せるその場所で、そう呟いたのは絵理子だった。


「っ!!絵理子っ!おまっ…な…何でここに…!?」

絵理子の前にいた吉田はその声に驚き振り返った。


「あんたこそ、いつも覗いてんの(笑)??」


わかっているけれど、あえて質問しているのであろう…

絵理子は意地悪そうな笑みを浮かべていた。


「ちがっ!?わねぇけど…。」

「唄の憧れの君どこ?」

「知るかっ…!!」

「…(笑)長いこと思いをよせてる相手が、急に現れた知らない男に惚れちゃったんだもんねぇ…」


哀れむように吉田に視線を投げかける絵里子


「ストーカーしたくなるよねっ(笑)」

「お前なぁ!!」

「私は帰るけど、吉田は頑張れっ!!それがあんたの恋する気持ちでしょ。あ、でも紙一重だから気をつけなよ?」


そう言って笑うと絵理子は帰って行った。


「あいつ茶化しに来やがったなっ!」


絵理子の後ろ姿を見つめながらそう呟いた後、また図書館の中の唄に目を向ける吉田。


「…恋する気持ち、か。」


ミーンミンミン…

蝉は忙しなく鳴いている。