引き込まれて、呼吸をするのも忘れるぐらいだった。 本当に手の届かない、すごい人なのだと実感して、涙がこぼれそうになった。 どれぐらい時間をかけただろう。 ひとつひとつの作品をじっくりと見て、とうとうギャラリーの最奥にたどり着いてしまった。 最後の絵は、ニューヨークの街並みを描いたものだった。 この街で岳さんは生きてるんだな……。 そんなことを考えて、ふと気づいた。