その彼は私の声で振り返った。彼は好青年のような顔立ちだった。

「あっ道に迷っちゃって。あれ?君、朝霞高校の人?」

「そうですけど…」

「よかったぁ!俺も朝霞なんだ。よかったら一緒に行ってくれないかな?」

私は、彼に話し掛けてよかったのか不安になった。まぁ、学校にいけばおさらばできると思った。

「あっいいですよ。行きましょう。」

「やったぁ!!ありがとう。」

彼は満面の笑顔でお礼を言った。私はそれをみると不思議な感じがした。……気のせい?
そして私たちは、学校に向かった。向かってる途中、いろいろ話した。

「君、朝霞の何年?」

「今日から一年です。」

「おぉ!同じだ。俺も今日から一年なんだ。」

「えっそうなんですかぁ?」

「うん、あっ自己紹介!俺の名前は坂本 青空(サカモト セナ)っていうんだ。君は?」

「私は橘 瑠歌です。」

「可愛い名前だね。これからもよろしく!」

私は、驚いた。これからも…?よろしく…?これっきりじゃないの?って思ってたのに。やっぱり話し掛けたのは間違いだった、そう思った。私は嫌ですなんて言えないのだった。

「あっはい、よろしくお願いします。」

「敬語はやめようよ。同い年なんだし。」

何、こいつ!!なんかむかつく。

「えっ?あっうん。」

私は慌てて返事した。気を遣ったのがわからなかったのか、それにこれっきりだと思ってたのに…今日は最悪だぁ!!!!

「おっ学校見えてきた。」

「あっホントだ。」

私たちは無事学校についた。

「やっと着いたぁ。橘さん、ありがとう。」

私は急にお礼を言われ驚いた。べつにたいしたことしてないのに、変な人だ。

「うぅん、いぃよ。同じ学校なんだし。」

「同じ学校でも、声かけてくれたろ?」

「困ってる人がいたら声かけるのは当然だよ。」

「そう?でもありがとう。」

彼はまた笑顔でお礼を言った。

「うっうん。どういたしまして。」

その笑顔に私はちょっと動揺してしまった。ホント変な人…

「じゃ、俺行くから」

「あっうん、それじゃ。」

彼は大きく手を振りながら校内に入っていった。