『えっ?』
桃夏を本名で呼んだ方に振り向くとそこには、どこか見覚えのある知らない男の人。
見る限り30代後半から40代前半の優しそうな面影の人。
「・・・桃夏・・・だよな?」
桃夏はどう反応したらいいんだろう。
見覚えはあっても、知らない人。
でも、優しげな表情と困惑した表情が混ざり合った顔をしている人。
なんでだろう、何故か懐かしいような気がするんだ。
『・・・だ、れ・・・ですか?』
「そうだよな・・・覚えてるわけないよな・・・。」
『どこかでお会いしたことありますか?それか・・・昔、お会いしたとか・・・。ごめんなさい、見覚えはあるのですが、名前思い出せないです。』
「見覚えはあるのですが、なんて馬鹿正直に本当は言っちゃだめなんだぞ?それが大人のマナーだから。」
あはは、変わってないなぁ、昔と。、とその男の人は付け足して言った。
その笑顔に見覚えが・・・。
『え、え、え、??、まさか、いや、そんなはず・・・』
「そんなはずあるんだ。桃夏、久しぶり。」
その人の笑顔の中には、困惑や迷い、悲しみや悔しさなど、色んな暗い気持ちが混ざり合っているように見えた。
そう、この人は10年前に死んだはずの・・・・・
桃夏のパパ・・・。
「ただいま、桃夏」