マネージャーの運転する車で走ること10分。

駅前に到着。


「アリス、ぢゃあここに車止めて待ってるから。帽子とサングラス忘れずにね!ファンにアリスですか、って聞かれても違いますけど?、の一言だよ」



『わかってるって。大丈夫だから。行ってきます』



めがね兄さんの忠告をきっちり受けて駅前のデパートに入った。


男の子の誕生日プレゼントってどういうのを買えばいいのかなんて正直わからない。

男の子にプレゼントをあげるのなんて、もちろん産まれて初めてだから。



右側にはアクセサリーショップ、左側には雑貨屋さん……たくさんお店はあるけれど、たくさんありすぎて悩む。



─デパートの中を歩くこと30分、ようやくプレゼントを決めた。

何にしたかというと、名前入りのオリジナル携帯ストラップを作ってくれるお店で

知くんは、黒

桃夏は、ピンク で注文した。


出来上がったのを受け取り、お揃いのストラップを手に持って改めて出来上りを見てみる。

2人のイニシャルが彫られたストラップには、小さなハートの半分がぶらさがっていて、2つのストラップをくっつけると、そのハートが完成する仕組みになっていて、とっても可愛い。

自分の曲を鼻歌で歌いながら、笑顔でめがね兄さんの待つ車に戻るため、デパートをうろうろする。

ちょっとだけ道がわからなくて迷子状態になるけれど、ストラップを見てルンルンする今の桃夏には迷子なんてなったって同様しない。

いや、ルンルンだから同様しないんぢゃない、多分正確には迷子なることに慣れてるって言った方があってる。



そんな時、


「…桃夏……?」



自分の名前を疑問形で呼ぶ声がした。
しかも、本名で。