「恵里も、女なんだな」
彼の声に顔だけ出した。
「そっちこそ何よ、今更」
ベッドに腰掛けている歩は、私を見下ろしていた。
「いや、胸が……さすがの俺も、ねぇ」
「ギャー! 見ないでよ!」
枕でバシッと殴る。
やだやだ!
見られた!
「だったら下着姿で抱きついてくんなよ!」
「ギャー!」
そのまま枕でバシバシやり合っていると、部屋のドアが開いた。
ぴたりと二人の動きが止まる。
「朝っぱらから何騒いでんのよ、あんたたちは」
歩のお母さんがクスクス笑っていた。
「朝ごはんできたよ。恵里ちゃんも、化粧落としておいで」
最後に一発枕を投げつけて、私は一階の洗面台へと向かった。