バス停で眠ってしまったところまでは覚えている。

 そこからの記憶が……ない。

 歩を起こさないように上半身だけ起き上がり、必死で思い出そうとした。

 気付けば見慣れないロンTとスウェットを着ているし、自分の服はたたんで床に置かれていた。

 ここで着替えたというのか。

 化粧や巻き髪はそのままだから、風呂には入っていないようだ。

 何で?

 どうして?

 ベッドで歩に抱きつかれていた……。

 何か色っぽいことは起こっていないようだが、それにしても恥ずかしい。

 不覚だ。

 酒なんて飲むんじゃなかった。

 寒さに身震いしてとりあえず再びベッドに潜った。

 その振動で、歩が目を覚ましてしまったようだ。

「ん……起きたの?」

 心臓が飛び上がる。

 明らかに焦っている私を、歩は寝ぼけ眼で笑った。

「ね、あたし何でここにいるの?」

「は? お前覚えてないの?」