「で、響子さんから会いたいって言ってきたわけ」

「あーなんかごめんね。トゲのあること言われたろ?」

 さすが弟。

 よくわかっていらっしゃる。

「言われたー。でもその幼馴染、ベタボレみたいでさぁ」

「趣味悪いな。姉ちゃん性格最悪だよ。つーか俺とタメの彼氏連れてきた時はマジビビったけど」

 そう言われればそうだ。

 大学生なのに、高校生の彼氏なんて。

 何か裏でもありそうな気がしてきた。

「そこの二人、歌えー!」

 マイク越しの声で割り込んできたのは、もう一人の男子、浩二君だった。

 それからは歩と響子さんのことを忘れ、歌う。

 マイク争奪戦に私も参加した。

 部屋を取った三時間は、あっという間に過ぎてしまった――。



 二次会で大衆居酒屋に入った私たちは、ゆっくりと話に専念する。

 いつの間にか浩二君と真理が、良い雰囲気になっていた。