「イエーイ!」

 悠晴のヘタなラップに、みんなで合いの手を入れる。

 その時、静かに曲を入れている一人に気付いた。

 名前は確か、春樹君。

 足を組んで、顔を斜めに傾けて、リモコンの画面を操作している。

 その仕草、どこかで見たことがあるような……。

「曲、決まった?」

 私が声をかけると、彼は上品な笑顔をこちらに向けた。

 それで気付いた。

 響子さんに似ているのだと。

 笑顔の彼を見た瞬間、表情が硬くなる。

 どう見ても不自然な私に、彼は首を傾けた。

「どうしたの?」

「いや、ちょっと知ってる人に似てるなって思って」

「え? 誰? 滅多に言われないから、気になる」

 再び笑顔になった彼に、今度こそ私は笑顔を向けた。

「幼馴染の彼女。って、わかるわけないか。あはは」