「あたしの好きな人、彼女がいるの。別の人に遊んでもらったっていいじゃない」
憎たらしい感情を思いっきり込めて言った。
「そうなんだ、それならいいかもな」
自分のことなんて微塵にも思っていない様子の歩はあっさりと返す。
いいんだ、別の男と遊んで。
当たり前なのに心の中で拗ねてしまう。
とことん嫌な女だ。
私はベッドを降りて机に戻った。
「再開するか」
歩も私に続く。
ノートには少しだけ理解してきた数式とシャープペンシルの芯が折れた跡。
私はそれを一旦全部消して、一から解き直した。
歩と言い争いながら、この日も終了時には疲労でぐったり……。
12月24日。
終業式。
そしてクリスマスイブ。
恋人たちが、一番盛り上がる日だ。
午前中に学校から帰宅した私は、一人寂しく部屋でゴロゴロしていた。