「今日帰ってるときに、校門の前に来てたの」

「俺、何も聞いてないけど」

 私は視線を合わせずに膝に頭を乗せた。

 歩は知らないのに、悪いことをチクっているような気分になって罪悪感を覚えた。

「笑顔で怒られたよ。歩に迷惑かけんなって」

「そっか、なんかごめんな」

 ため息を漏らしているのは、歩こそ彼女に申し訳ないと思っているからだろう。

 歩が謝る必要なんてないのに。

 彼女の責任を取る彼氏みたいで、嫉妬する。

 それでも歩の彼氏としての顔を覗いてみたくなった。

「あんたたち、どういう付き合い方してんの?」

 私の問いに、歩の顔が緩んだ。

「普通だよ。一緒に遊んだり、チューしたり、エッチしたり?」

 ズキッ……。

 胸の痛みに、視界が震えた。

 嫉妬心が急に膨れ上がった。

 付き合ってんだもん。

 チューとかエッチするのは普通だって、わかってるのに。